医院名 |
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社会福祉法人むべの里光栄 かわぞえクリニック |
院長 |
善甫 宣哉 |
理事長 |
隅田 典代 |
住所 |
〒755-0074 山口県宇部市川添1-2-5 |
診療科目 |
内科・外科 |
電話番号 |
0836-52-7762 |
私は10年前、朝になると頭痛があり時々痛み止め(ロキソニン)を飲んでいました。イギリス出張時に他施設の先生と一緒に夕食とお酒を楽しんでいる最中、地下のトイレに行くと起立性低血圧の症状(目の前が真っ暗になる)があり、トイレに30分ぐらいしゃがんでいました。症状はすぐ治まり、無事に帰国できましたが、血圧を測定すると収縮期血圧/拡張期血圧が180/100mmHgあり、高血圧と診断されました。お酒がほとんど下戸の私が、飲酒により血管拡張し、高血圧から急に低血圧になったものと考えられました。
その後、カルシウム拮抗薬(アムロジピン)2.5mgからすぐ5mgの内服へ増量され、さらに血圧が正常域に下がらないためアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)(テルミサルタン)40mgの内服が追加されました。血圧は下がったのですが、時々頭がフラフラすることがあり、血圧を測定すると110/70mmHgと下がりすぎることが度々でした。その後、しばらくはカルシウム拮抗薬とARBの2剤を内服していましたが、頭のフラフラ感が続くため、カルシウム拮抗薬のみに減らし、早朝高血圧がかなり高い時のみARBを追加することとしました。
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)(エンレスト)は血圧を下げ、過度な水分貯留を改善し、心臓への負担を軽減するため、慢性心不全に加えて、2020年に高血圧の適応が拡大されました。
血圧は一日の時間、季節、環境、食事、飲酒、運動などでかなり変動し、目標値は年齢、糖尿病、慢性腎臓病、脳血管障害、虚血性心疾患などの合併の有無により変わってきます。ただ単に血圧を下げるだけで良いわけではありません。心臓のみならず、脳血管、腎血管、下肢動脈の血流を考えて目標値を設定する必要があります。
降圧薬の内服について気になることがありましたら、遠慮せずご相談下さい。
糖尿病(2型糖尿病)は遺伝的素因が強い病気で、肥満、暴飲暴食、運動不足、ストレスなどが原因となります。膵臓から分泌されるインスリンの感受性が低下し(インスリン抵抗性の増大)、働きが弱まるために血糖値が上昇する病気です。インスリンは糖、脂質、蛋白質をつくる同化ホルモンで、これらをエネルギーとして細胞内に取り込むのに重要な働きをしています。したがって、糖尿病があると細胞の新陳代謝が行われず、長く続くと100μm以下の細動脈の動脈硬化により糖尿病性網膜症で失明や、糖尿病性腎症で血液透析が必要になり、糖尿病性神経症と足の中動脈の閉塞による閉塞性動脈硬化症により、足の皮膚潰瘍や壊死が起こり、下肢切断という重篤な状態になることがあります。また、脳梗塞や心筋梗塞で命を落とすこともまれではありません。
糖尿病の治療の第一は食事制限とダイエットです。二番目が内服治療です。
ビグアナイド薬(メトホルミン):糖尿病治療の第一選択薬として推奨されています。主として肝臓から血液中へ放出されるブドウ糖の量を少なくして、血糖値が上昇するのを防ぎます。また、インスリンの働きを良くする作用もあります。この薬単独で低血糖を起こす危険性はありません。まれに重篤な乳酸アシドーシス(血液が酸性に傾く)を起こすことがあり、ヨード造影剤を用いたCT検査、血管造影検査時は検査前48時間から検査後48時間まで休薬する必要があります。
SGLT2阻害薬(ジャディアンス):2014年に発売された比較的新しいお薬です。血液中のブドウ糖は腎臓を通過すると原尿の中へ出ていきますが、再吸収され再び血糖として血液中に戻ります。この再吸収に関わっているSGLT2タンパク質の働きを抑えることにより、ブドウ糖が血液中に戻れないようにし、血糖値を下げます。ジャディアンスは2021年に慢性心不全、2024年2月に慢性腎臓病の適応が拡大されました。同じくSGLT2阻害薬であるフォシーガは2021年慢性腎臓病、2023年慢性心不全の適応が拡大されました。全身麻酔などによる手術を受ける場合は、正常血糖ケトアシドーシス(血液が酸性に傾く)になることがあり、手術72時間前より術後72時間まで休薬が必要となります。
DPP-4阻害薬(ジャヌビア):2009年に発売された比較的新しいお薬です。摂取した食事が胃から小腸に到達すると、インクレチン(GLP-1)というホルモンが小腸から分泌され、膵臓を刺激し、インスリン分泌を促進します。インクレチンはDPP-4という酵素によってすぐに分解されますが、このDPP-4の働きを抑えることによりインクレチンの作用を高め、インスリン分泌を促進します。血糖値が高い時のみインスリン分泌を促進させるので、この薬単独で低血糖を起こすことはまれです。
GLP-1受容体作動薬(リベルサス):元々注射薬しかありませんでしたが、2020年に発売された新しい飲み薬です。インクレチン(GLP-1)と同じ作用を示すお薬で、血糖値が高いときだけインスリン分泌を促進させます。GLP-1は食欲を抑える働きがあるため、体重の低下作用があり、肥満の方に向いているお薬です。最近、本来の糖尿病薬としてではなく、ダイエット目的に使用され、問題となっています。
過去1-2ヶ月間の血糖コントロールの良し悪しを確認するにはHbA1C(ヘモグロビンA1C)を測定します。平常値は5.6%以下です。内服治療の目標値は、HbA1C 7%未満です。
経口糖尿薬の内服について気になることがありましたら、遠慮せずご相談下さい。
胸部ならびに腹部大動脈瘤の約70%の患者さんは脂質異常症(高コレステロール血症)があります。大動脈瘤は遺伝的素因が強い病気で、高コレステロール血症も遺伝的素因が強い病気です。悪玉(LDL)コレステロールは、余分なコレステロールを血液の壁に沈着させ、マクロファージなどの炎症細胞を活性化し、動脈硬化を起こします。善玉(HDL)コレステロールは逆に血管内にたまったコレステロールを肝臓へ戻すように働きます。高中性脂肪(トリグリセライド)血症は肥満、暴飲暴食、運動不足が原因で、動脈硬化を促進します。
脂質異常症の治療の第一はコレステロールを多く含む食事やアルコールの摂取を控えることです。脳梗塞や心筋梗塞、大動脈瘤などの心血管疾患がある場合は、内服治療が選択されます。
スタチン製剤は肝臓でHMG-CoA還元酵素を阻害し、コレステロールプール量を減少させ、肝臓のLDL受容体の数を増やすとこで、血液中の悪玉(LDL)コレステロールを低下させます。低下の度合いにより、ストロングスタチン(ロスバスタチン)とスタンダードスタチン(プラバスタチン)に分けられます。副作用として、横紋筋融解症(筋肉痛)、CK上昇、肝機能障害などがあり、定期的な血液検査が必要です。高齢の小柄の女性では副作用の少ないスタンダードスタチンが推奨されます。
中性脂肪を下げる薬としてフィブラート製剤(べザフィブラート)がありますが、内服治療の前に、食事とアルコール摂取を控え、ダイエットすることが肝要です。
脂質異常症のお薬の内服について気になることがありましたら、遠慮せずご相談下さい。
私は19歳から39歳まで一日20本から60本喫煙をしていました。しかし、今から29 年前に禁煙しました。その理由は、同級生が30年前の12月25日に禁煙をし、講師室で善甫が隣で喫煙していたから俺はやめられたと言いました。私はちょうど新しい家を作って、庭でタバコを吸うのもカッコ悪いので、同級生が禁煙した1年後の29年前の12月25日から完全禁煙しました。やめた直後は、食後やお酒を飲む時にどうしても欲しくなり、冷たいお水を一杯のむか、国内はもちろんのこと、台湾やロンドンに出張中も日本の百貨店に行きビタミンC 1000mg入りの酸っぱい飴を買って気分を紛らわしていました。
喫煙により血液中のニコンチン濃度が上昇し、脳のニコチン受容体に付くと、ドーパミンという神経刺激物資を放出するため、「今日も元気だ、タバコがうまい」や、気分が落ち着いたり、ストレスがおさまったりします。しかし体は逆で、喫煙により血管が収縮し、脈拍が増加して、体にはストレスがかかってしまいます。また、血管内皮細胞を障害し、脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化で血管が詰まる疾患疾患のみならず、大動脈瘤、大動脈解離、肺気腫や、喉頭がん、食道がん、肺がん、膵がん、膀胱がんなど各種のがんの原因となります。
喫煙はニコチン依存症という精神疾患で、麻薬中毒と同じ疾患分類に入ります。以前はチャンピックスという禁煙薬が健康保険で12週間の内服が認められ、約1/3-2/3の患者さんは禁煙が達成できていました。チャンピックスは脳のニコチン受容体に付き、少量の神経刺激物質を放出させ、禁断症状を抑えるばかりでなく、タバコを万が一吸っても満足感が得られなくなるという働きがありました。しかし、基準値を超えるN-ニトロソバレニクリン(加工肉製品や加工魚、ビール、その他アルコール飲料などの食品から検出されていますが、長期にわたり許容範囲を超えた場合には発がん性リスクを高める可能性があるとされています)が検出されたため、現在、製造されなくなりました。
肺気腫(慢性閉塞性肺疾患:COPD)も喫煙が原因です。喫煙により体内のα1-アンチトリプシンという蛋白分解酵素阻害薬の働きを抑えるために、肺胞が破壊されて、ガス交換を行う小さな部屋の壁が潰れて体育館のような大きな部屋(ブラといいます)になる病気です。
禁煙が一番の治療ですが、肺気腫がもとの肺に戻ることはありません。症状が強い場合はシムビコートタービュヘイラー(ステロイド+気管支拡張薬)の吸入を行います。肺気腫が重症になると、空気中の21%の酸素では呼吸が苦しくなり、絶えず酸素を1-2L/分吸う必要があります。
禁煙がなかなかできないと長年苦労しておられる患者さんは、遠慮せずご相談下さい。
認知症にはアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症などがあります。
アルツハイマー病では、記憶に深く関わる脳の海馬という部位あたりから萎縮が始まり、進行性の認知症状を呈します。アルツハイマー病の特徴は、老人斑の出現、神経原線維変化、神経細胞(シナプス)の脱落です。老人斑の主成分は複数のアミノ酸からなるアミロイドβ蛋白です。また、過剰にリン酸化され不溶化したタウ蛋白が脳内に凝集・蓄積されます。これらにより、神経細胞が脱落し、脳の萎縮が起こります。この3つの特徴を引き起こす要因は、加齢、遺伝的因子、環境因子です。加齢を背景に遺伝的因子や環境因子が加わり、脳内でのアミロイドβ蛋白の凝集・蓄積や、タウ蛋白の凝集・蓄積が起こります。 また、頭部外傷や生活習慣病がアルツハイマー病のリスクになります。アルツハイマー病の症状は、初期には昔の記憶はあるものの最近のことを覚えることができず、同じことを何度も繰り返し聞く、物を置いた場所を思い出せない、約束を忘れる、慣れた場所で道に迷うなどの症状が現れます。これらに加えて、物取られ妄想、活気・意欲の低下、無気力、口数の減少などなどを伴うことがあります。進行すると、昔のことも忘れ、親しい人の顔がわからなくなったりします。また、食事や着替え、トイレ、お風呂などを一人で正しく行うことができない、徘徊する、攻撃的になる、夜間せん妄などの症状が見られるようになります。
血管性認知症とは、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)によって脳内の神経組織が破壊され、認知症状が現れる病気です。脳血管障害と認知症の発現に明確な因果関係があることを確認する必要があります。また、血管性病変の部位と大きさが臨床症状を説明するのに妥当なものである必要があります。アルツハイマー病と比べて男性に多いと報告されています。血管性認知症の原因は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、心房細動などがあります。さらに、悪影響を与える生活習慣として、喫煙、過度の飲酒、肥満、運動不足、ストレスなどがあります。血管性認知症の症状は、症状に変動が見られたり、特定のことはしっかりできるのに、他のことは全くできなくなるといった「まだら認知」と呼ばれる症状を呈するのが特徴です。また、脳血管障害による片麻痺や構音障害を伴うことが多いです。
レビー小体型認知症は、レビー小体という特殊なたんぱく質の塊が高次機能をつかさどる大脳皮質や、生命維持をつかさどる脳幹にたまり、神経細胞が死滅することで起こります。 診断基準は、混乱したり、ぼんやりしたりする状態が1日のうちに激しく変動する「認知機能の動揺」、非常にリアルな幻覚がくりかえし生じる「幻視」、パーキンソン病のような症状が起こる「パーキンソニズム」の3つのうち、2つ以上が当てはまることです。
毎週土曜日午後2時から6時まで、脳神経内科の専門外来があります。お気軽にお越しください。
2020年の65歳以上の調査では、認知症が12.3%で10年前より2.7%減少し、軽度認知症害(Mild Cognitive Impairment: MCI)が15.5%で10年間より2.5%増加しています。2040年の推計では、認知症が約584万人、軽度認知障害が約613万人で、合わせて約1197万人、65歳以上の3人に1人が認知症または軽度認知障害になると言われています。
認知症のお薬はドネペジルやメマンチンがありますが、いずれも症状の進行を数ヶ月から1年遅らせる可能性がありますが、認知症の根本的治療ではありません。最近、承認されたアミロイドβ蛋白を脳から取り除くレカネマブも、症状の進行を約7.5ヶ月遅らせる効果がありますが、初期のアルツハイマー病と軽度認知障害のみに適応があります。
そこで、軽度認知障害から発症前の状態に戻す適切な予防が必要になります。第一は生活習慣病の予防です。中年期に高血圧があると、認知症になりやすく、脳血管障害の危険性も高くなります。糖尿病があると2.1倍アルツハイマー病になりやすいと言われています。中年期に 総コレステロール値が高いとアルツハイマー病の危険性が高くなります。しかし、高齢者では、脂質異常症が認知症発症と関連するというエビデンスはありません。中年期では、肥満の人ほど認知症になりやすく、逆に、高齢者では2年間にBMIが5%以上減少すると認知症になりやすいと言われています。喫煙量が多く、期間が長いほど、認知機能が低下します。認知症のリスクを下げるためには、できるだけ早い時期に禁煙することが肝要です。多量の飲酒は認知症の危険性が高くなりますが、逆に少量の飲酒する人は認知症のリスクが低いと言われています。
認知症の予防の第二は認知機能の改善です。週に2回、1時間以上麻雀や囲碁をすると、認知機能や短期記憶の維持効果があると言われています。第三は体を動かす運動です。週3回、1時間以上の中等度以上の運動をすると認知機能改善が期待されます。第四は食事を楽しめる変化です。旬の食材で、彩り、温冷、和・洋・中などの変化に富む食事を楽しむことが認知症の予防につながります。第五は仕事を辞める年齢が1歳高くなるごとに認知症のリスクが3%低下すると言われています。また、仕事を辞めても、楽しめる活動、生きがいに取り組むことで認知症の予防になります。
高齢者の薬物有害事象の増加が問題となっており、薬物動態や薬力学の加齢変化と多剤服用が二大要因といわれています。6種類以上が薬物有害事象の発生増加に関連したというエビデンスがあり、厚生労働省は6種類以上の多剤服用をポリファーマシーと定義しています。しかし、高齢者では、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患、慢性心不全や慢性腎臓病、認知症、不眠症、慢性便秘、慢性胃炎や逆流性食道炎などを併存している人が多く、ここでは9剤以上をポリファーマシーとさせていただきます。
脳梗塞や心筋梗塞を合併している人が再度発作を起こさないための薬剤服用を二次予防といいます。現在は健康ですが、近い将来、脳梗塞や心筋梗塞を新たに発生しないように薬剤服用することを一次予防といい、二次予防とは厳密に分ける必要があります。
抗血小板剤である低容量アスピリン(アスピリン腸溶錠、バイアスピリン)を健康高齢者に約5年間投与し、脳梗塞や心筋梗塞の一次予防効果をみた臨床試験では、脳梗塞や心筋梗塞の発生は有意に抑制されず、逆に、頭蓋内出血や消化管出血が有意に増加して有効性は示されませんでした。
スタチンという悪玉(LDL)コレステロールを下げるお薬を高齢者に投与した臨床試験では、前期(65歳以上)ならびに後期(75歳以上)高齢者で心筋梗塞の二次予防効果が示されました。さらに、前期高齢者(65歳以上75歳未満)で脳梗塞、心筋梗塞の一次予防効果が示されました。しかし、後期高齢者(75歳以上85歳未満)で脳梗塞、心筋梗塞の一次予防効果は示されませんでした。85歳以上の超高齢者ではエビデンスそのものが存在しません。このように高齢者に対する薬物投与では年齢と一次予防、二次予防を厳密に分けて判断する必要があります。
私が訪問診療を行っている4つの高齢者福祉施設での114人のデータでは、平均年齢が88-91歳(最高104歳)で、当初の平均薬剤数は5.6-6.5剤でした。9剤以上の処方は20-30%に及びました。最近6カ月の間に、前述した基準で減薬した結果、平均薬剤数が4.7-5.3剤に減少し、9剤以上の処方は全体の約10%まで減少しました。減薬による有害事象は全く発生していません。食欲低下により全ての薬剤を中止せざるを得なかった高齢者で、逆に服薬前より元気になった方も少なからずおられます。
また、末梢神経障害に対するビタミンB12製剤(メコバラミン)の長期投与や、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・逆流性食道炎に対するプロトン・ポンプ・インヒビター(PPI)の長期投与が非常に多く見られます。とくに、抗血小板剤クロピドグレルとPPIオメプラゾールの併用による抗血小板効果の大きな減弱にも注意が必要です。
2022年の日本人の死亡原因の第5位は肺炎、第6位は誤嚥性肺炎です。肺炎の原因菌は、肺炎球菌が最も多く18.8%を占め、続いてインフルエンザ菌7.6%、黄色ブドウ球菌が4.2%、肺炎桿菌が3.0%と続きます。普段健康な65歳以上の高齢者では肺炎球菌による肺炎が最も多く、肺炎球菌ワクチンの接種が強く推奨されています。65歳未満でも、虚血性心疾患、喘息、肺気腫(COPD)、糖尿病、慢性腎臓病などの基礎疾患を持つ方にも推奨されています。
気管は前に、食道は後ろにあり、口から食べたものは気管を乗り越えて食道に入ります。食べ物を飲み込むと、喉頭(のど仏)が上に上がって、喉頭蓋という気管のフタが閉まります。高齢者ではこの喉頭反射が弱くなり、誤嚥しやすくなります。また、若い時は万が一食べ物が気管に入っても、咳による喀出ができますが、高齢者では咳による喀出が弱く、誤嚥性肺炎となります。したがって、誤嚥しないようにゆっくり噛んで食べることが大切です。さらに、毎食後に歯磨きをして口腔内を絶えず清潔に保つことが重要となります。
私の父は歯科医でした。80歳で自分の歯が20本あると長生きできるとよく言っていました。歯がない人は十分に食事を噛むことができず、誤嚥もしやすいと考えられます。さらに、歯周病菌は動脈硬化に関係が深く、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなると言われています。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の原因は新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)による感染です。2019年12月中国武漢で初めて報告され、今もなお世界的な流行を見せています。本邦では2023年4月1日までに33,462,859人(人口の約26.5%)が新型コロナウィルス感染症と診断されています。
新型コロナウィルス感染症について厚生労働省は、入院措置・勧告や外出自粛といった措置をとれる「新型インフルエンザ等感染症(感染法上の2類相当)」に位置付けていましたが、2023年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ感染法に規定される5類感染症に移行しました。
新型コロナウィルス感染症は、新型コロナウィルスの感染からオミクロン株では2-3日の潜伏期間ののち、発熱、咽頭痛、咳・痰、鼻水・鼻閉などの呼吸器症状や、関節痛、頭痛、嗅覚異常や味覚異常といった症状が現れます。また、感染者の一部は発症後5-7日間で急速に肺炎が悪化して、酸素吸入や集中治療室での人工呼吸管理が必要となることがあり、特に高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患)を持つ人で重症化しやすいことが知られています。オミクロン株では、若年者の重症化リスクは低く、ほとんどが軽症で済むことが特徴です。
新型コロナウィルス感染症の診断は、鼻咽頭ぬぐい液の抗原検査が行われます。10分間で新型コロナウィルスとインフルエンザA型、B型の診断が可能です。
新型コロナウィルス感染症の内服治療は、解熱鎮痛薬(カロナール)、去痰剤(カルボシステイン、アンブロキソール)、消炎・止血剤(トラネキサム酸)などの対症療法と、抗ウィルス薬(ゾコーバ、ラゲブリオ)があります。後者は5日間の内服で、2024年4月より3割負担で約16,000円から26,000円の自己負担が必要となり、費用対効果が問題となっています。
新型コロナウィルス感染症と診断されたら、診断初日を0日として、第5日目まで自宅待機することが他人に移さないために必要です。さらに、第5日目の24時間に発熱、咽頭痛、咳・痰などの症状がないことを確認して、第6日目より学校、職場に復帰できます。
新型コロナウィスル感染症の予防には、マスクなどの防護対策を行なったうえで、3密(密閉・密集・密接)を避け、体調が悪い時は外出を控えるなどの予防対策が推奨されます。さらに、65歳以上の高齢者や、60歳以上65歳未満の人で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活が極度に制限される人では、コロナワクチン定期接種することで、重症化が予防されると考えられます。当院ではファイザー社製コミナティ(2024/2025シーズン用)のワクチン接種を行なっています。
季節性インフルエンザはインフルエンザウィルスにより引き起こされる急性ウィルス感染症です。例年11月下旬頃から徐々に患者が増え始め、1月頃に流行がピークに達し、3月下旬頃まで続きます。
季節性インフルエンザを引き起こすインフルエンザウィルスの型はA型とB型です。インフルエンザは咳や鼻水を介する飛沫感染によって感染し、1-2日程度の短い潜伏期間の後に発症します。悪寒戦慄、急激な高熱と共に発症し、関節痛や咳・痰、鼻水・鼻閉などの上気道の症状が現れます。咽頭痛や筋肉痛が現れることもあります。発熱期間は3-5日で、38度以上の高熱が持続した後に解熱傾向に向かいます。肺炎や脳症(意識状態がおかしく、けいれんを起こす)などの合併症にも注意が必要です。
インフルエンザの診断は、新型コロナウィルス(COVID-19)抗原検査と同時迅速キットが使用されます。鼻から細長い綿棒を入れて鼻咽頭から検体を採取し、10分で結果が判明します。
インフルエンザの治療は、解熱鎮痛薬(カロナール)、去痰剤(カルボシステイン、アンブロキソール)、消炎・止血剤(トラネキサム酸)の内服薬と共に、抗ウィルス薬が使用されます。発症後48時間以内に開始する必要があります。オセルタミビル(タミフル)は1日2回、5日間内服します。ラニナミビル(イナビル吸入粉末剤)は最初に2容器分を1回吸入(10歳以上から成人、適切に吸入できると考えられる5-9歳では1容器分を1回吸入)するだけで、オセルタミビル5日間と同等の治療効果があるといわれています。
インフルエンザと診断されたら、診断初日を0日として、第5日目まで自宅待機することが他人に移さないために必要です。さらに、解熱後2日間は自宅待機して、解熱後3日目より学校、職場に復帰できます。
インフルエンザの予防には、手洗い、うがい、マスクの着用を心がけましょう。また、インフルエンザワクチンの予防接種は重症化を防ぐための方法の一つです。かわぞえクリニックでは毎日、インフルエンザワクチンの予防接種を行なっています。
2月 | デイケアセンター |
3月 | 未定 |